SDGsは、企業が事業と社会の双方の価値を創造する機会を提供します。各拠点においても事業活動がSDGs17目標の達成にどのように貢献しているかについて意見交換を行いました。それぞれの強みを活かし、さまざまな角度から社会的課題に取り組んでいます。拠点別に取り組みの一例をご紹介します。
フランス
環境に配慮した持続可能なモビリティプログラム
Takasago Europe Perfumery Laboratory S.A.R.L.(TEPL)は、環境に配慮した持続可能なモビリティプログラムを実施しています。従業員の移動や、輸送に伴うCO2排出量を削減することを目的としています。あらゆるレベルで、公共交通機関、電動自転車、電気自動車、タクシー、出張、リモートワークなどの代替ソリューションが提案されています。期待される効果としては、CO2排出量の削減、生物多様性の保全と環境・資源の保護や責任ある生産・消費スキームの推進にもつながると考えています。
職業上の男女平等指標 F/M 89/100
男女間の賃金格差:40点満点中29点
個人別昇給・昇格の男女分布の差:35点満点
産休から復帰した際に昇給した女性社員の割合 : 15点満点
最高給与額トップ10位間の平等性 : 10点満点
シンガポール
太陽光発電で持続可能なエネルギーの利用を促進
太陽光発電システムは、化石燃料に比べCO2排出量が少なく、環境の持続可能性に貢献しています。Takasago International (Singapore) Pte.Ltd. (TIS)では、2014年度に旧生産拠点から移転したSunview Roadの工場・管理棟の屋上に太陽光発電パネルを設置するため、地元企業であるSunseap社と提携し、取り組みを進めています。太陽光発電システムは2015年度から発電を開始し、TISの年間電力使用量の約3%を供給しています。
この取り組みを継続するため、2017年度に太陽光発電システムを第2フェーズに進めることを決定し、空調用設備の上に太陽光パネルを追加設置しました。TISに設置された太陽光パネルの総発電容量は現在275kWで、TISの年間消費電力量の約3.3%(フェーズ1比10%増)を供給しており、TISのカーボンフットプリントを122トンCO2/年削減しています。
米国
男女平等社会を目指して
状況は改善されつつあるものの、女性は仕事を休まなければならないことが多く、安定した職歴にマイナスの影響を与え、その結果、類似職種の賃金格差を招いています。子育てや介護を理由に離職した女性は、現在働いている女性に比べて7~10%少ないオファーを受けることになり、賃金格差が長引くことになります。
このような長年の給与格差を認識し、(TakasagoInternational Corp.U.S.A.)(TAKUS)は、従業員の給与を定期的に見直しています。具体的には報酬・給与監査を実施し、男女別の報酬率を分析し、報酬格差や懸念事項がないかを確認しています。不均衡が発見された場合には、直ちに適切な調整を行います。
また、給与格差の解消に向けた取り組みとして、採用時の給与履歴情報の不要化を進めています。ポジションの公正かつ公平な給与レンジを設定し、候補者と率直な話し合いを行っています。求人および従業員給与の調整は、個人の技能、経験および功績に基づいて行われ、過去の報酬に基づいては行っておりません。
スペイン
心身の健康管理・増進
Takasago International Chemicals (Europe) ,S.A.(TICSA)では、従業員の健康指標や生活の質を向上させることを目的に、さまざまな研修を用意しています。教育・研修を通じ、従業員の健康習慣・健康状態の向上に努めています。
Training Week 2021が4月7日、8日、9日に開催され、保健生活習慣の第1コースとなった「世界保健デー」と同時に開催されました。この活動では大半の社員が参加し、健康的な生活を送るためには、健康的な生活習慣を作る必要があり、健康障害を防ぐ必要があることを改めて認識しました。特定の行動が健康や生活の質に及ぼす負の影響、運動習慣、衛生、バランスの取れた食事、一般的に健康な生活を送ることに寄与するすべてのものの有益性を評価することを学びました。
今後も、専門家のアドバイスも踏まえながら、従業員が自らの健康目標を設定できるよう、活動やワークショップを開催していきます。
ドイツ
蒸気熱の有効活用
Takasago Europe G.m.b.H. (TEG)は、敷地内にある工場の熱設備を増設し、可能な限りの熱源の分散化を図っています。これらの熱源を利用することにより、暖房システムへの負荷を軽減し、暖房に対する一次エネルギー需要を低減することができます。
工場内の蒸気系統の回収タンクは、重要な熱源です。回収タンクは大気中で換気されており、膨張中にかなりの量の蒸気が発生します。これらの蒸気は屋根から失われますがこの残留蒸気をエネルギーとして利用します。その結果、より多くの熱水(蒸気が凝縮した物)を回収することができ、暖房システムの負荷が少なくなります。今後はTEGの新天然ガス地区にも同様の設備を設置する予定です。
この取り組みを通し、暖房によるエネルギー消費を低減させるだけでなく、工場の拡張により取り替えを検討していた暖房システムも使用期間を延長することができ、コスト削減にもつながりました。事業と社会の双方の価値を創造するSDGsのテーマにあった取り組みを今後とも計画していきます。
インド
さまざまなアプローチで水使用量の削減を図る
Takasago International( India) Pvt. Ltd.(インド)では、以下4つの取り組みを中心に、水利用の効率を大幅に向上させ持続可能な水供給の確保に取り組んでいます。
- 処理水量(140.0㎥)の月平均値の40%をガーデニングに再利用。
- 空調機における水使用量の20%を削減するため、凝縮水を回収 (48㎥/年)。
- CIPと呼ばれる自動洗浄機能を使用し水使用量を10%削減(24㎥/年)
- 雨水集水ピット(26ピット、最大降雨量100㎜に対応)は、安定した地下水位と集水を可能にするため、最大340㎥の雨水を再充填することが可能。
中国
環境にやさしいフレーバーの開発
Shanghai Takasago-Union Fragrances&Flavors Co., Ltd.(STU)では、バイオマス原料の活用や資源の有効利用を推進し、環境にやさしいフレーバーの開発を進めています。また、自然の実感が得られるコレクション「Vivid Flavors®」を活用し、天然資源の持続可能な利用を推進しています。
プラントベース・フード(植物性タンパクを利用した食品)による畜肉代替の流れは、消費者の健康志向へのニーズのみならず、環境負荷低減の観点からも今後さらに市場は拡大していくと考えています。STUでは、植物タンパク質の異味・異臭成分をマスキングし、肉のような味を高めるフレーバーを開発するグローバルプロジェクトに参画しています。
働き甲斐のある職場づくりの促進
高砂香料グループでは、従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、一人ひとりが能力を発揮し成長できるよう働きやすい職場づくりに努めています。具体例の一つとして、労使の話し合いによる制度や処遇の改善などを行い、従業員が働きやすい職場づくりをめざしています。
Takasago International (Guangzhou) Co., Ltd.(TIG)では、2012年より広州のAA/AAA格調和労働関係企業表彰を受け、労使の良好な関係が評価されました。また、スキルアップ・成長促進の観点では、TIGでは興味のある従業員向けに日本語をはじめとした語学研修を提供しています。今後はそれぞれのレベルに合わせたスキル向上の年次研修も予定しており、多様な人材が個性や特性を活かし、かつ伸ばしていける職場づくりを進めてまいります。
ブラジル
エネルギー消費を100%再生可能エネルギーに
2020年7月、Takasago Fragrâncias E AromasLtda.(TBR)は一般的な電力市場から自由エネルギー市場(電力エネルギーの価値をめぐる競争環境)に移行しました。エネルギーは、クリーンエネルギーを生み出す特徴を持つ小水力発電所、バイオマス発電所、風力発電所、太陽光発電所で使用されています。
自由エネルギー市場への移行により、TBRはCO2排出量の削減とクリーンエネルギー生産の促進に貢献するとともに、100%再生可能エネルギーの利用という世界的な目標を達成することができました。
さらに、柔軟性(エネルギー供給者の自由な選択と消費の上流)、少ないコスト(エネルギー価格の直接交渉)、多くの節約(配電料金の割引)、多くの収益性(残留エネルギーの「販売」を可能にする)、確実性(規制された料金の変動による環境への影響を回避する)などの他の便益ももたらしています。
メキシコ
資源の最適利用を推進し、循環型社会を目指す
Takasago De Mexico S.A De CV.(TDM)は「Wasteゼロ」活動を企画・実施しました。この取り組みは、産業廃棄物を再利用、リサイクル、堆肥化、発電に利用するなどしてWasteゼロを目指すものです。たとえば、金属ドラム缶などの包装資材を他の工程で再利用したり、スクラップ金属、低密度プラスチック、紙、ダンボールをリサイクルしたり、作業工程で発生する粉末や、食品、園芸廃棄物などの有機性廃棄物を土壌改良材として処理し、最終的に再生・再利用できない廃棄物を発電に利用しています。
これらの活動により、水・エネルギー使用量やCO2排出量を削減することができました。その他の効果としては、材料処分費用の削減、産業副産物の販売による追加収入、地方自治体との関係改善などが挙げられます。このように「Wasteゼロ」活動では、資源の最適利用を推進し、循環型社会に貢献しています。