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気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」)による提言への対応について

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高砂香料グループは、2019年11月に気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」)※1 の提言への賛同を表明しましたが、この度初めてTCFDの提言に沿った形での情報開示を行いました。

異常気象等の気候変動により、すでに私たちの暮らしだけでなく、企業のビジネス活動に対してもさまざまな影響が出ています。
高砂香料グループは、2017年から特定しているCSR課題「マテリアリティ」にて気候変動を重要な課題のひとつと捉えており、問題解決と情報開示に努めてきました。
TCFD提言では「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」といった4つの基礎項目が設定されており、初めてとなる今回の対応においては、項目ごとに気候変動関連のリスクおよび機会に関する当社の取り組みや考えについて記載しました。今後ともTCFDの提言に沿った情報開示を図りつつ、気候変動戦略の策定・実施をしていくことで、より一層持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

※1. TCFD(Taskforce on Climate-related Financial Disclosure)とは各国の中央銀行総裁および財務大臣からなる金融安定理事会(FSB)の作業部会です。投資家等が適切に判断するため、一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ、効率的な気候関連財務情報開示を企業へ促すことを目的とし、2017年に自主的な情報開示のあり方に関する提言を公表しています。
TCFDは、企業に対して、複数の気候関連シナリオを用いて自社における気候関連リスクおよび機会を評価し、経営戦略・リスク管理に反映させ、財務上の影響を把握、開示することを提言しています。 TCFDに関する詳細はウェブサイトをご覧ください。

 <2025年9月25日更新>

ガバナンス
内容高砂香料グループは、ステークホルダーの皆様から信頼されるよう、コーポレート・ガバナンスの充実を図っています。
当社は、気候変動に対する取組みをマテリアリティにおいて最重要事項と位置づけており、方針や施策について定期的に取締役会にて議論しています。エネルギーや温室効果ガスに関する具体的な諸課題については、グローバルEHS Committeeで掘り下げた議論・対策の検討を行っています。
また、サステナビリティ推進会議を定期的に開催しており、各部門における目標の共有、活動計画の進捗管理を実施しています。
サステナビリティにおける重要課題については取締役会に報告を行い、承認を得て対応を進めています。
対象ページ●コーポレートガバナンスに関する基本方針
https://www.takasago.com/ja/aboutus/governance.html
●サステナビリティ報告書2024
 P17:サステナビリティガバナンス
 P32:グローバルEHS マネージメント
戦略
内容高砂香料グループは、気候変動に伴うさまざまなリスク・機会を事業戦略上の重要な観点のひとつと認識しています。
TCFD提言に沿って、サステナビリティ推進チームのメンバーでシナリオ分析を実施して、2030年以降の中長期にわたる時間軸でのリスク・機会の特定を行いました。その結果、気候変動によるリスクとして、豪雨や洪水などの物理的リスクによる自社拠点の操業を含むサプライチェーンへの影響などが抽出されました。これらの物理的リスクへの緩和策として、重要生産拠点においてBCP策定および事業継続力の強化や、気候変動リスクを受けやすい原料を対象とした持続可能な調達プログラムの実施により、影響の低減に取り組んでいます。これらの施策は、10年以上のスパンで考えており、長期的なアクションとして実行してまいります。
一方、気候変動に関する機会として、気候変動への適応によるエネルギー効率等操業面での改善やイノベーションによる新製品の開発などが抽出されました。気候変動への適応を新たな事業機会として捉えており、低炭素商品・低炭素技術の研究開発・販売にも積極的に取り組んでいます。
当社はグリーンケミストリーの実現に向けた取組みを推進しており、高効率で環境負荷の低い機能的な触媒や連続フロー反応などの研究開発を今後も進めていきます。
対象ページ●サステナビリティ報告書2024
 P60-64:研究開発
リスク管理
内容高砂香料グループは、安定した事業活動を継続するために、重要な事業リスクを定期的に洗い出し、影響の回避や軽減を図る対策に努めています。
当社では、取締役会が損失・危険に繋がるリスクを総合的に評価・判断できるよう、リスク管理委員会を設置しており、報告された状況や調査結果を元に事業に伴う経営インパクトの分析・評価と対応策の審議・立案を行っています。気候変動によるリスクは、2018年7月に発生した西日本豪雨により、操業への影響を受けた経験もあり、重要項目としてリスク管理委員会にて議論し、取締役会へ上程・報告を行っています。
また、事業拠点における水リスクの評価も開始しており、評価結果をBCPや今後の取組みに活用することを検討しています。
また、当社は研究開発本部・国内外の主要生産拠点を登録範囲として環境マネジメントシステムISO14001を取得しており、各事業所における環境に関するリスクを把握・管理しています。
対象ページ●サステナビリティ報告書2024
 P72-77:コーポレートガバナンス・リスクマネジメント
指標と目標
内容

高砂香料グループは、温室効果ガス排出量を気候関連のリスクと機会の評価指標に定め、その削減に取り組んでいます。グループ全体の温室効果ガス排出量を算定・モニタリングし、また第三者検証を取り入れております。サプライチェーン排出量についても、業界平均値、ライフサイクルアセスメント(LCA)用のインベントリデータベース「IDEA」、ステークホルダーやサプライヤーから収集したLCA情報などを用いて、Scope3 排出量を算出しています。排出量の実績についてはすでにサステナビリティ報告書にて開示しております。
2021年5月、高砂香料グループにおける温室効果ガスの削減目標が、国際的な指標である「Science Based Targetsイニシアチブ」から認定を取得しました。2025年には、Well-below 2℃基準の目標から、1.5℃基準に整合した目標へ更新いたしました。あわせて、当社グループは自社バリューチェーンの排出量のネットゼロを目指す、ネットゼロ目標を策定しました。更新したグループ削減目標は以下の通りとなります。

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[短期目標]
・2030年度までに2019年度比でグループ全体のScope 1※2とScope 2※3の合計を46.2%削減する
・2030年度までに2019年度比でグループ全体のScope 3※4を27.5%削減する
[長期目標]
・2050年度までに2019年度比でグループ全体のScope 1とScope 2の合計を90%削減する
・2050年度までに2019年度比でグループ全体のScope 3を90%削減する
[ネットゼロ目標]
・2050年度までにバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量をネットゼロにする
 

今回の目標更新により、短期目標については、1.5℃基準に整合する科学的根拠に基づいた削減目標として、2025年4月にSBTイニシアチブより再認定されています。長期目標ならびにネットゼロ目標についても、SBTイニシアチブより「ネットゼロ目標」として認定されています。
削減目標の達成に向けて温室効果ガス削減活動を実行し、脱炭素社会の実現に向けたインパクトを社会全体に与え、カーボンニュートラル社会へ貢献してまいります。

※2.主に自社で化石燃料を消費し、その時に排出される温室効果ガス排出量
※3.主に自社で使用するエネルギーを製造するため、自社の敷地外で排出される温室効果ガス排出量
※4.製品の調達段階から、物流、販売、消費など、サプライチェーン全般において排出される温室効果ガス排出量

対象ページ

●サステナビリティ報告書2024
 P23:マテリアリティ 気候変動

 

脱炭素への移行計画

高砂香料工業は、2025年、ネットゼロ目標を立案し、脱炭素へのコミットメントを示しました。目標を達成するため、想定する低炭素・脱炭素社会のあり方を改めてシナリオ分析し、当社グループは削減量を認識し、削減活動プログラムの策定を行いました。現在、様々な施策を現在推進しており、将来的には炭素クレジットの購入などによるオフセットや炭素除去技術への投資を検討します。また、直接排出量(Scope 1+2)とサプライチェーン排出量(Scope 3)を対象として、インターナルカーボンプライス(内部炭素価格)をさらに活用し、排出削減経路の策定に活用します。
製品のライフサイクルアセスメント(LCA)にも注力し、自社製品の環境負荷を認識し、インベントリ情報提供ならびに脱炭素戦略に活用しています。2024年は、AI製品のCFP算定ならびに外部認証作業を推進しました。LCAは、自社のScope 3算定にも活用しています。

〇排出量目標達成に向けた取り組み:Scope 1+2
当社グループでは、エネルギー管理プログラムの下、エネルギー消費量をモニタリングし、様々な施策を通じて、Scope 1およびScope 2の排出削減を推進しています。

•ボイラー、冷蔵庫、空調システムなど、エネルギー効率を高めるための設備の改修
•古い照明からLED照明への交換など、エネルギー効率を高めるための建物の改修
•廃熱回収システムやコージェネレーション装置を使用促進
•より環境負荷の低い燃料への転換促進(重油からLNGへの転換など)
•再生可能エネルギーの活用
•生産効率を考慮したプロセスイノベーション
•エネルギー管理/モニタリングシステムの導入促進
•設備運転の自動化、運転方法の見直し、生産プロセスの変更によるエネルギー消費量および温室効果ガス排出量の削減 
•設備の適切な保守・点検
•環境教育に加えエネルギーや気候変動に特化した従業員トレーニング
•原単位目標の設定とモニタリング
また、日本ではエネルギー管理委員会を設置し、原単位でエネルギー削減目標のもと、施策の推進に加えて拠点間の省エネ点検を実施、グループ全体で更なる改善を図っています。

〇排出量目標達成に向けた取り組み:Scope 3
高砂香料グループは、バリューチェーン全体での脱炭素化への取り組みを加速しています。Scope 3については、カテゴリー1(調達活動)の排出量が最も大きいと認識しています。気候変動対策と連動して、サプライヤーエンゲージメント活動を開始しました。サプライチェーンへの働きかけは調達部門が主体的に行い、サステナビリティ部門と連携して目標達成へまい進いたします。

•サプライヤーからのLCA情報収集の拡大
•サプライヤーやステークホルダーとの対話・パートナーシップの推進
•気候変動への取り組みに基づくサプライヤーの評価・選定。
また、物流の効率化や廃棄物削減など、様々な施策を通じて、Scope 3の削減に努めます。


カーボンニュートラル社会に更に貢献できるよう、脱炭素化戦略を進めます。