エネルギー/大気への排出
高砂香料グループで使用されるエネルギーのほとんどを生産現場やオフィスで使用するための購入電力で賄っています。
高砂香料グループは、CO2排出にかかわるエネルギー使用量を削減するために、省エネ・省資源型の設備やプロセスの採用、空調の温度設定の適正化など、さまざまな方法で取り組んでいます。
さらにCO2排出量を削減するために、各拠点の状況、事業所やステークホルダーのニーズを分析し、再生可能エネルギーなどCO2排出量の少ないエネルギー源への切り替えを積極的に進めていきます。
新たな目標
高砂香料グループは、SBTi(Science BasedTargets Initiative)に基づき、1)スコープ1およびスコープ2の直接排出量を2030年度までに2019年度比で27.5%削減、2)スコープ3の排出量を2030年度までに2019年度比で13.5%削減するという目標を設定しました。
2021年度の結果について
スコープ 1、 2 排出量
2021年は、各拠点の省エネ活動によりエネルギー使用量が0.2%減少するとともに、排出量も2020年と比較して5.9%減少し、目標としていた2.5%を大きく上回りました。今後もSBTi目標の達成に向けて排出量削減活動を継続していきます。
サプライチェーン(スコープ3)排出量
業界平均値、ライフサイクルアセスメント(LCA)用のインベントリデータベース「IDEA」、ステークホルダーやサプライヤーから収集したLCA情報などを用いて、Scope3 排出量を算出しています。また、Scope3を含むGHG排出量は、活動結果をもとに第三者機関が検証を行いました。算定の結果、2021年度の排出量は13.9%増加し、またカテゴリー1(調達活動)からの排出量が最も多いことを確認しました。カテゴリー1の削減を実現するため、以下のような気候変動対策を推進しています。
- サプライヤーからのLCA情報のさらなる収集
- お取引先様をはじめとするステークホルダーとの対話・パートナーシップの推進
- 気候変動への取り組みを評価したサプライヤー選定
それに加えて、Scope3排出量の削減については、廃棄物削減活動や物流の効率化を図るためのアクションプラン等を推進しています。
組織内のエネルギー消費量(エネルギー消費量の削減)
2020 |
2021 |
前年度からの変化(%) |
|
---|---|---|---|
非再生可能エネルギー源に由来する総燃料消費量(GJ) |
|||
都市ガス | 377,993 | 411,700 | 8.9% |
LPガス | 5,630 | 7,145 | 26.9% |
LNG | 135,210 | 70,713 | -47.7% |
天然ガス | 14,544 | 5,651 | -61.1% |
A重油 | 34,482 | 33,768 | -2.1% |
軽油 | 6,103 | 7,061 | 15.7% |
灯油 | 225 | 263 | 17.1% |
ガソリン | 7,444 | 7,801 | 4.8% |
廃油 | 48,475 | 50,518 | 4.2% |
直接的なエネルギー使用量 | 630,106 | 594,621 | -5.6% |
購入した電力、暖房、冷房、蒸気の消費 (GJ) | |||
購入した電力 | 657,172 | 677,365 | 3.1% |
購入した蒸気 | 32,267 | 50,031 | 55.1% |
間接的なエネルギー使用量 | 689,439 | 727,396 | 5.5% |
再生可能エネルギー源に由来する総燃料消費量 (GJ) | |||
バイオマス燃焼量 | 39,432 | 43,338 | 9.9% |
購入した電力 | 14,442 | 11,272 | -22.0% |
発電した電力 | 270 | 259 | -4.0% |
総再生使用エネルギー量 | 54,144 | 54,869 | 1.3% |
エネルギー総消費量 |
1,373,689 |
1,376,887 |
0.2% |
エネルギー原単位
2020 |
2021 |
|
---|---|---|
1トン製品生産あたり原単位 (GJ) | 18.86 | 17.83 |
温室効果ガス排出量 *Scope 1算定に含まれるガス ; CO2, CH4, N2O, HFCs, SF6
2020(再掲) | 2021 | 前年度からの変化(%) | |
---|---|---|---|
直接的および間接的な温室効果ガス 排出量(CO2e-t) | |||
Scope 1* | 32,457 | 30,076 | -7.3% |
Scope 2 | 32,961 | 31,503 | -4.4% |
合計 (Scope 1 + 2) |
65,418 |
61,579 |
-5.9% |
温室効果ガス排出原単位 (1トン製品生産あたりの温室効果ガス排出量(CO2e-t))
2020(再掲) | 2021 | 前年度からの変化(%) | |
---|---|---|---|
GHG emissions (tonne)per tonne production | |||
合計 (Scope 1 + 2) |
0.90 |
0.80 |
-11.2% |
各カテゴリの排出量
カテゴリ | CO2 排出量(t) | 温室効果ガス総排出量に対する比率 |
---|---|---|
購入した製品・サービス |
831,002 |
86.16% |
資本財 |
22,706 |
2.35% |
Scope1, 2 に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 |
12,843 |
1.33% |
輸送、配送(上流) |
22,323 |
2.31% |
事業から出る廃棄物 |
6,564 |
0.68% |
出張 |
488 |
0.05% |
雇用者の通勤 |
4,326 |
0.45% |
リース資産(上流) |
- |
- |
輸送、配送(下流) |
- |
- |
販売した製品の加工 |
- |
- |
販売した製品の使用 |
- |
- |
販売した製品の廃棄 |
2,635 |
0.27% |
リース資産(下流) |
67 |
0.01% |
フランチャイズ |
- |
- |
投資 |
- |
- |
Scope3 |
902,954 |
93.62% |
Scope1 |
30,076 |
3.12% |
Scope2 |
31,503 |
3.27% |
温室効果ガス総排出量 |
964,533 |
|
CO2 排出量は第三者検証の結果を反映し数値を更新いたしました。
※
対象範囲:高砂香料グループ(-)は算定方法検討中または対象外
対象年度: 2021 年度
水と廃水
事業活動を安定的に継続していく上で、水は必要不可欠な資源であると認識しています。
現在、国内外の生産拠点では十分な水量と安定した品質の水が確保されていますが、気候などの状況の変化により、利用可能な水量や品質が低下する等のリスクが高まることをあらかじめ想定し、生産拠点における水使用量の削減や再利用の可能性等を検討していきます。水の使用量については、2021年は水をより必要とする製品の生産が増加したことに伴い、前年と比べて0.3%増加しました。
水源別の取水量
取水 (ML) | 2020 | 2021 | ||
---|---|---|---|---|
全地域 | 水ストレスのある地域 | 全地域 | 水ストレスのある地域 | |
上水道 |
607 |
102 |
680 |
109 |
工業用水 |
446 |
0 |
438 |
0 |
地表水 |
0 |
0 |
0 |
0 |
地下水 |
2,111 |
0 |
2,056 |
0 |
総取水量 |
3,164 |
102 |
3,109 |
一部の生産拠点では、生産の目的で許可された量の地下水を取水しています。
排水先別の排水量
取水 (ML) | 2020 | 2021 | ||
---|---|---|---|---|
全地域 |
水ストレスのある地域 |
全地域 |
水ストレスのある地域 |
|
地表水 |
2,611 |
19 |
2,518 |
8 |
地下水 |
0 |
0 |
0 |
0 |
第三者(地方自治体の処理施設等) |
384 |
67 |
451 |
87 |
総排水量 |
2,995 |
86 |
2,969 |
95 |
河川放流を行っている生産拠点については、放流前に生化学処理を行い基準以下まで浄化した水を放流しています。
水消費
水の消費量 (ML) | 2020 | 2021 | ||
---|---|---|---|---|
全地域 | 水ストレスのある地域 | 全地域 | 水ストレスのある地域 | |
総水消費量 (ML ) |
169 |
16 |
205 |
13 |
水関連課題への対応
水ガイドラインの策定
事業を推進・継続するにあたり、水資源は非常に重要であると考えています。水環境は様々な環境問題と関連していますが、水の権利(所有権や水資源配分の問題など)をめぐる社会的な問題も多く存在します。このような状況を統合的に認識し課題解決に貢献するため、当社グループは、国連グローバル・コンパクトのThe CEO Water MandateやWWF (世界自然保護基金)のウォーター・スチュワードシップ・ガイドラインを参照し、「高砂香料グループ ウォータースチュワードシップ・ガイドライン」を2022年4月に策定いたしました。今後は、当ガイドラインに従って、水に関連する課題に対応してまいります。
水リスクへの対応
水リスクへの対応に注力しています。水関連リスクは、気候変動の進行もあって、世界的に関心が高まっています。事業に影響を及ぼすと考えられる水関連リスクについて状況を把握し、適切に管理・対処してまいります。具体的には、全製造拠点でWWFとDEG(ドイツ投資開発会社)が開発した「Water Risk Filter」による水リスク評価を実施し、BCP構築等へ活用しています。
水セキュリティに関する開示
国際環境非営利団体CDPによるサプライチェーンプログラムを通じた開示を実施しています。2021年度のCDP水セキュリティの評価結果は「A-」スコアでした。さらに評価を改善できるよう、水環境の管理強化に努めてまいります。
当社グループ 水に関する指針はこちらからご覧ください。
廃棄物
高砂香料グループは、グループ全体で分別の推進による有価物化や製品の設計や生産工程を改善するなど、廃棄物の総排出量の削減に努めています。廃棄物として排出する場合は再生利用を優先し埋め立て処分する量を減らすことにも取り組んでいます。また、処理業者を適切に管理し、不法投棄などの不適切な廃棄物処理を防止しています。
廃棄物排出量(処分方法別)
有害廃棄物 (MT) | オンサイト | オフサイト | 合計 |
---|---|---|---|
リサイクル |
0 |
1,234 |
1,234 |
焼却 |
0 |
254 |
254 |
埋立 |
0 |
95 |
95 |
有害廃棄物の総発生量 |
0 |
1,583 |
1,583 |
非有害廃棄物 (MT) | オンサイト | オフサイト | 合計 |
---|---|---|---|
リサイクル |
1,931 |
15,376 |
17,308 |
焼却 |
10,376 |
3,998 |
14,374 |
埋立 |
0 |
168 |
168 |
非有害廃棄物の総発生量 |
13,307 |
19,544 |
32,851 |
2021年は、グループ全体で発生する廃棄物のうち、0.76%が埋め立て処分されています。
環境コンプライアンス
高砂香料グループでは、コンプライアンスは経営上の最重要課題の一つであると考え、適用項目、適用基準、測定基準、適用要件を明確にしたISO14001環境マネジメントシステム(EMS)のプロセスに基づいて管理するために、EHS、災害対策、法規制、社会的ニーズなどの最新情報を入手するためのプロセスを構築しています。
2021年は高砂シンガポールで不適切な廃棄物収集業者の使用および禁止物質の公共下水道への直接排出(罰金424千円)があり、是正対応と予防策を講じています。
廃棄物汚泥ゼロを目指して
高砂香料グループの南海果工(株)では、和歌山県産の柑橘類や梅の果実から搾汁を行っており、搾汁量の最も多い温州ミカンは毎年3,000トン前後の青果を果汁に加工しています。搾汁工程ではミカン果皮や梅の種等の固形の廃棄物が大量に発生しますが、果皮は飼料(有価物)として、梅の種は炭化して土質改良剤としてリサイクル活用をしています。同時に搾汁工程で発生する廃水は、工場内の廃水処理施設で微生物処理を行い、所在地域の環境基準以下まで浄化し放流しますが、浄化のために汚れを食べた微生物は増殖し大量の余剰汚泥となって堆積し、産業廃棄物として有料で処理していました。
そこで南海果工(株)では、2011年より環境負荷低減や余剰廃棄汚泥ゼロを目標とし活動を進めてまいりました。具体的な取り組みとして協力会社が開発した余剰汚泥発生抑制技術※を導入し、2010年度に年間297トン発生していた余剰汚泥を年々減少させることに成功しました。2021年度は33トン程度まで削減、産業廃棄物処理は量とともにコスト削減にも大きく寄与する結果を得られました。
引き続き協力会社とともに、廃水処理施設の微生物環境の維持や運用に気を配り、廃棄物汚泥ゼロを実現すべく取り組んでいます。
※ 研究・製造過程でブレンドした微生物群を活用した余剰汚泥発生抑制技術