「キャリアを重ねたからこそ、見える工場の姿がある。」
内海 恭秀
YASUHIDE UTSUMI
磐田工場 製造部
1991年入社 理学研究科 化学専攻 修了
- 高砂香料を志望した理由は?
パイオニアとして、新たな一歩を踏み出したかった。
学生時代は化学を専攻し、その中でも化学反応を促進するために必要な触媒の研究を行っていました。そのため、卒業後は触媒メーカーに就職。もともと研究していた分野だけに学んだ知識が活かせる職場ではありましたが、よりスケールの大きい仕事に挑戦し、道を切り開きたいという想いから、転職を決意。偶然にも実家の近くに工場があり、香料事業のパイオニアとして国内香料業界のトップを走り続けていた当社の存在を知り、入社を決意しました。
- 現在の仕事内容を教えてください。
工場における、人とものを監督する。
磐田工場の製造部で製造部長を任されています。磐田工場では、主にl-メントールをはじめとする合成香料と医薬品中間体を製造しています。仕事内容としては、本社事業部で決められた製造計画を実現させるため、本社と工場の間に立ち、スケジュール調整や必要要員の確保と適正配置を行っています。「安定した品質を、安全かつ効率的に生産し、お客様へ安定供給する」という使命のために、日々尽力しています。
- 仕事のやりがいと苦労する部分を教えてください。
予期せぬことを乗り越えて、予定通りにものをつくる。
製造過程では予期せぬ困難が発生することもあり、やりがいと難しさを同時に感じます。特に新しい製品の立ち上げや製造工程を改良した後では、装置の不具合や予想外のトラブルによる品質不良が起こることも少なくありません。研究所のフラスコレベルで実現可能と判断されたものでも、実機レベルではスムーズにいかないことも多く、常に試行錯誤の連続です。ただ、そうした困難を乗り越え、予定通りに製品製造ができたときには達成感があります。
- これからの目標を教えてください。
より強い組織にするべく、課題解決にのぞみたい。
合成香料分野、医薬品中間体分野ともに価格競争力だけでなく非価格競争力を高めていくことが目標です。ある一定のクオリティーをしっかり担保しつつも、価格面での競争優位性を生み出すことをめざしています。一方、今まで生み出してきた製品にいかに付加価値を加え、他社との差別化を図るかも重要になります。そうした分野ごとの課題を改善することで、より強い競争力を生み出し、世界で戦っていきたいと考えています。
- 印象に残っているエピソード
異国の地で、人を育てる難しさを痛感。
入社9年目のとき、アメリカのシカゴに新たな合成工場が建設されました。そこで、現地でスタッフを育てるために、その立ち上げに参加。しかし、もともと甘味料の製造に使用されていた工場を再利用した環境だっただけに、日本の設備との違いに苦戦。また、それ以上に言葉の壁はもちろん、根本的に発想や考え方の異なる人々へ製造業務のノウハウを伝えることは想像以上に時間と労力がかかりました。ひとつの作業を依頼するにも、その完成度は国民性や価値観の問題から、日本とアメリカでは大きな差があり悪戦苦闘。どのように問題を解決すべきか考えた結果、自分たちの価値観を一方的に押しつけることをやめてみました。求めるクオリティーの作業を行ってもらえるまでは、作業のポイントとその理由を丁寧かつ詳細に伝えることに。その結果、なんとか日本レベルの製造を実現することができました。この経験は、製造部長として製造部をまとめている今でも役立っていると感じます。
製造中間体の香り
磐田工場の製造部での経験が長いことから、自分自身がこれまでに携わった製品の中間体の香りは特に印象に残っています。ものを生み出す過程で副次的に出てくる匂いということもあり、決して良い香りとは言えませんが、工場内を漂う香りを嗅ぐだけで、どの中間体の香りかがわかるくらい慣れ親しんだ香りです。
※こちらの記事は取材当時のものです。