「緻密な香りづくりに、挑戦する。」
住吉 圭介
KEISUKE SUMIYOSHI
鹿島工場 製造部
2018年入社 工業化学・情報科 卒
- 高砂香料を志望した理由は?
つくってみてわかった、香りの魅力。
香りに興味をもったきっかけは、高校2年生のときに行ったエステル合成の実験でした。酸とアルコールという良い香りとはいえない2つの物質を化学反応させて生成するエステル。その化合物からは不思議なことに果物の香りがし、香りを生み出す奥深さを知りました。同じく、当社を知ったきっかけも高校の授業。ℓ-メントールという結晶を生み出すために、初めて不斉合成の工業化に成功した国内最大手の香料メーカーと聞き、魅力を感じました。
- 現在の仕事内容を教えてください。
安全安心な香りを届ける。
食品や飲料に添加される香料の製造を行っています。入社から3年ほどは、原料から必要な成分を抽出する業務に従事。現在は、合成香料と天然香料といった香料素材を決められた量、順序、温度に従って調合し、多種多様な香りを製造しています。また、液体製品の透明度を向上させるため、不純物を取り除く濾過という作業も行っています。各香料には決められた製造ルールがあるため、それを遵守し、安全安心な生産を心がけています。
- 仕事のやりがいと苦労する部分を教えてください。
ひとつの製品をつくるためには、いくつもの困難がある。
通常、20~30種類ほどの原料を使用することで、ひとつのフレーバーが製造されますが、複雑なものになると50種類以上の原料を使用するものも。また、製造工程においても同様で、各原料を入れる順番を間違えると、製品に悪影響を及ぼす物質が発生してしまうこともあり、常に細心の注意を払う必要があります。しかし、そうした緻密な作業の末に目標とする香りが完成し、食品や飲料などを通じて、お客様や消費者に貢献できた際は、やりがいを感じます。
- これからの目標を教えてください。
高砂香料の環境を活かして、成長していきたい。
積極的に知識や技術を身につけ、任された仕事をしっかりと遂行できる人をめざします。そのため、わからないと思ったことをそのままにしない、新しい仕事にも果敢に挑戦するなど当たり前のことを大切にしたいと思っています。実際に、当社ではそうした前向きな姿勢を受け入れてくれる環境が整っています。今後もこの環境を十分に活かし、いずれは装置の老朽化対応や監査対応など、より製造という仕事を俯瞰して考えられる人になりたいです。
- 印象に残っているエピソード
不具合の対応に見た、先輩の働く姿勢。
入社1年目、製品の試作製造に携わったときに、お客様から「天候の影響で、果皮から搾汁したオイルの色が通常より濃く出てしまい、困っている」とのご相談をいただきました。そのため、色を薄めるのに役立つ炭を用いて、実験をしてみることに。しかし、液体香料と炭を混ぜた際に発熱を起こしてしまうなど、予期せぬ事態が発生。正直、ひとつの香りを製品化するまでに、ここまでの時間と労力が必要なのかと驚かされました。しかし、研究所や本社の生産管理部、品質保証部などさまざまな人がかかわり、入念な打ち合わせと試行錯誤を重ねた結果、無事に問題を解決。普段、すでに決められたルールに従い、作業を行うことが多かっただけに、改めて先輩方が積み重ねてきたノウハウや経験値の偉大さを痛感しました。また、予想外の事象が起きても焦らず、迅速に対応する姿を見て、私もこういう人になりたいという目標ができ、仕事への姿勢が変わるきっかけとなりました。
果物の香り
果物は毎日食べるほど好きなので、フルーツ系の香りを嗅ぐと気分が良くなります。その中でも、オレンジやグレープフルーツといったシトラス系の香りは、鹿島工場でメインでつくっている香料のひとつであり、初めて工場見学で訪れた際に当社を印象づける香りとなりました。
※こちらの記事は取材当時のものです。