「香料開発の技術をもとに、異なるフィールドへ。」
石坂 智洋
TOMOHIRO ISHIZAKA
ファインケミカル研究所
2016年入社 自然科学研究科 物質化学専攻 修了
- 高砂香料を志望した理由は?
技術力の高い会社で、働きたかった。
当社を知ったのは、l-メントールの工業化を大学の授業で学んだのがきっかけです。読んでいた学術論文でも、"Takasago"という名前を頻繁に見ていたので、技術力のある会社という印象がありました。大学で学んだ有機合成化学をベースに仕事に取り組めること。また、国内香料メーカーの中では最も有機合成に力を入れており、DENEB®・RUCY®・Ru-MACHO®といった独自の金属触媒の開発に取り組んでいたことに魅力を感じて、入社を決めました。
- 現在の仕事内容を教えてください。
香料の分野で培った技術を、他分野で活かす。
当社の事業は香料をつくるだけではありません。合成香料で培った有機合成技術をもとに、レーザープリンターなどに使用されている電子写真感光体などの製造・販売も行っています。私が所属する部署では、それら機能性材料の開発を担っています。より良い性能の材料開発に向けて、目的化合物を設計し、合成法を立案したうえで反応条件の検討を行います。またデータ収集や物性評価、現行製品の改良検討など、業務内容は多岐にわたります。
- 仕事のやりがいと苦労する部分を教えてください。
データを見つめたその先に、成功がある。
合成研究では実際に実験を行うと、予想に反して未知の不純物ができてしまったり、目的化合物の収率が低かったりなど、さまざまな課題が発生します。そうした課題に直面した際に、先入観をもたず、一つひとつのデータを冷静に確認しながら、自分の仮説通りに実験が成功したときには大きなやりがいを感じます。一方、これまでに苦労を覚えたのは、異動を経験したことです。同じ会社でも部署や業務内容によって仕事の進め方が異なるため、そうした違いに慣れることが大変でした。
- これからの目標を教えてください。
専門家として、頼られる存在になりたい。
一番の目標は自身が研究開発に携わった化合物を、製品として世に送り出すことです。そして、いずれは合成研究のプロフェッショナルとして周囲から信頼され、頼られる存在となることが目標です。そのために、自身の専門性を高めることはもちろん、専門分野以外の知識や仕事への取り組み方など、さまざまなことを勉強していきたいと考えています。
- 印象に残っているエピソード
新たな装置の導入、そのための実験に挑む。
ファインケミカル事業では、より効率的な生産を可能にする連続フロー合成に力を入れており、その技術に関連する設備の導入に携わったことが印象に残っています。入社2年目のころ、連続フロー合成技術を用いた医薬品中間体の製造をめざし、CSTRと呼ばれる装置の設計、導入が検討されることになりました。しかし、前例のない製造装置でしたので、装置設計や運転条件を設定するためのデータ収集方法も試行錯誤しながら行う必要がありました。ラボサイズのCSTR装置の設計開発からスタートし、さまざまな条件での実験とデータの取得、また結果の考察と、長期にわたって検討が進められました。最終的に設備の導入が決定したときは、自身が取得したデータをもとに重要な決定がなされたということで、大きな達成感を覚えました。導入した設備は現在も、医薬品中間体の製造で活用されており、この経験が今の自信につながっていると感じます。
秋の山の香り
趣味が登山なので、基本的に草や花、土の香りが好きですが、特に好きなのは秋の山の香りです。秋の山は紅葉など視覚的にも楽しめますが、そこに木々の香りが加わると、より一層秋らしさを感じることができます。日常でも木々の香りを感じることはありますが、山の中だと香りの印象が変わるのは不思議でおもしろいなと思います。
※こちらの記事は取材当時のものです。