「機能性素材を通じて、さらなるおいしさを届けたい。」
林 萌実
MEGUMI HAYASHI
技術創成研究所
2015年入社 生物資源環境科学府 生命機能科学専攻 修了
- 高砂香料を志望した理由は?
さまざまな専門家とかかわることで、視野を広げたかった。
香料関係の分野を研究テーマに専攻していたこともあり、就職活動の際には香りを通して嗜好食品のおいしさをつくる仕事に携わりたいと思っていました。香料メーカーや食品メーカーなどさまざまな企業を見ていましたが、その中でも当社は国内最大手だったこと、またフレーバーやフレグランス、有機合成など幅広い分野を手がけていることが魅力的でした。特に分野が広いことは多くの専門家とかかわりながら、働けるのではと思い、入社を決意しました。
- 現在の仕事内容を教えてください。
香りにさまざまな機能をもたせるために、研究を重ねる。
技術創成研究所で、フレーバー向け機能性素材の研究開発に携わっています。具体的にはフレーバーにプラスすることで、より本物に近い果汁風味を付与できる風味改善素材や、フレーバーを劣化させないためのフレーバー安定化素材の研究開発などを担当。ひとつの果汁から必要とする成分を分離し、その分子構造を解析していくという地道な作業を日々行っています。また、研究内容について学会で発表をすることも業務のひとつです。
- 仕事のやりがいと苦労する部分を教えてください。
膨大な時間を費やす、醍醐味と苦労がある。
果汁は天然物であり、様々な成分から構成されます。その中から目的の成分を取り出すのはとても難しく、膨大な時間がかかります。また、取り出した成分を構造解析することも簡単ではなく、各種スペクトルを頼りに解析していかなければなりません。精製から構造解析までに、半年から1年ほどを要することもあります。しかし、だからこそ構造を読み解くことができたときは、大きな達成感があります。
- これからの目標を教えてください。
直接、香りとかかわる仕事もしてみたい。
現在の機能性素材に関連する研究業務は、香料会社の研究職の中でも香りへのかかわり方は間接的です。有用な機能をもつ香り以外の成分を利用して、香料に応用する仕事のため、香りを直接扱うわけではありません。そのため、今後は香りとの接点が多かったり、香りを直接扱ったりすることができる業務に携わってみたいです。基礎研究を学んだからこそ身についたスキルや視点を活かし、製品に直結するような研究業務にもかかわれれば嬉しいです。
- 印象に残っているエピソード
取り組む姿勢に、結果がついてくる。
入社2年目のころ、配属されて半年も経たないうちに現在の部署へ異動となりました。異動後はそれまでとまったく異なる分野に携わることに、不安な気持ちでいっぱいでした。そんなときに急遽、フレーバー安定化素材について学会での発表を任されることに。もちろん事前に上司や先輩が準備を進めてくれていましたが、発表できる段階ではありませんでした。当時は限られた時間の中で、データを集めるため実験を重ね、資料作成や発表準備に必死の毎日でした。当日は入念な準備のおかげで満足する発表ができ、それまでの努力が報われました。この経験から悩むよりも、今ある課題にどう前向きに取り組むか、行動に移すかの重要性を学びました。これらの教訓は、現在も仕事をするうえで活かされており、成長を実感できた体験です。
祖母へ贈った香水の香り
ある香水の香りは祖母と母を思い出します。その香水は素敵なボトルに入った、甘くてウッディな香りがするもの。無機質な病室で闘病の日々を過ごす祖母に、香りで心が満たされてほしいと思い、母と一緒にプレゼントしました。祖母も気に入り、ベッドや枕につけて楽しんでくれていたようで、今でも贈って良かったと思っています。
※こちらの記事は取材当時のものです。