「試行錯誤を繰り返し、イメージする香りをつくり出す。」
石井 美波留
MIHARU ISHII
フレーバー研究所
2015年入社 生物産業学部 食品香粧学科 卒
- 高砂香料を志望した理由は?
きっかけは、高校時代に見たテレビ
学生のころ、台所から漂うおいしそうな匂いで夕飯を当てており、「よく鼻が利くね」と言われていたことがきっかけで香りに興味をもつようになりました。そんなときに、たまたま見たテレビ番組で当社のフレーバリストが紹介されており、香りをつくる仕事があることを知りました。その番組の影響から「香りをつくる仕事をしてみたい」と思い、香りを学べる大学に進学。就職活動時に当社を志望し、入社することができました。
- 現在の仕事内容を教えてください。
オーダーメイドで食べ物の香りをつくる。
食品向けの香料(フレーバー)を開発しており、中でもインスタント麺やレトルト食品、調味料やスナック菓子など、セイボリーと呼ばれるカテゴリーの香料を担当しています。営業がヒアリングしてきたお客様が求める香りのイメージをもとに、オーダーメイドでフレーバーを作製。お客様の要望通りになれば採用となり、最終商品に使用されます。また、香りの分析技術を用いて中長期的に新しいフレーバーの開発なども行っています。
- 仕事のやりがいと苦労する部分を教えてください。
仕事の醍醐味、そのかくし味は試行錯誤。
お客様からの依頼の中には「ある有名店をイメージした香り」といったご要望を受けることがあります。そうした際は実際に店舗へ行き、試食をしてみることも。さまざまな試行錯誤を重ねて完成したフレーバーが、お客様に気に入ってもらえたときはやっぱり嬉しいです。一方、苦労する点は、数千種類を超える原料の香りや特徴を把握したうえでバランスを調整し、イメージする香りを開発しなければならないことです。「調香師は10年で一人前」と言われており、時々そのスケール感に気が遠くなってしまいます。
- これからの目標を教えてください。
世界で活躍できるフレーバリストになりたい。
フレーバー開発という仕事をする中で、だんだんとお客様から採用していただく機会が増え、身近な商品にも自身の携わったフレーバーが使われるようになってきました。「石井に任せておけば大丈夫」と言われるよう、セイボリーのフレーバリストとしての道をきわめていき、いずれは世界にも通用するようなフレーバリストをめざしたいです。
- 印象に残っているエピソード
世界の知見を、日本のトレンドにする。
フレーバー研究所のプログラムとして、海外拠点の若手研究員・フレーバリストとの交流会(ワークショップ)に参加したことが印象に残っています。私は入社4年目と5年目にホスト役として参加し、シンガポールとアメリカの研究員を迎えて技術交流を行いました。コミュニケーションはもちろん英語。入社してからは英会話学校などに通って英語の修得を試みてはいたものの、やはりペラペラといえるほど話せたわけではありませんでした。それでも、食文化や食べ物のトレンド、香料にかかわる技術などについて、情報を交換することはおもしろく、言葉の壁を忘れて交流することができました。特に、食べ物のトレンドはアメリカやヨーロッパから遅れて日本に入ってくることが多いため、とても勉強になり、刺激を受けた体験でもありました。その後、教えて貰った技術を取り入れて調合した香料のひとつがお客様に採用され、学んだことを成果としても残すことができました。
グローブの皮の香り
私は中高時代に、5年間ソフトボール部に所属していました。そのころにチームメイトと一丸となって頑張った経験は、今でも私を支えてくれていると感じています。グローブの香りを嗅ぐと、学生時代を思い出し、「あのころのように頑張ろう!」と気が引き締まります。
※こちらの記事は取材当時のものです。