高砂香料工業は、北海道大学大学院工学研究院　大熊 毅教授との共著で、Elsevier社発行の学術雑誌Tetrahedronに" Ru(η¹-BH₄)(daipena)(diphosphine): Ruthenabicyclic borohydride complexes for asymmetric hydrogenation of ketones and asymmetric formal hydroamination of allylic alcohols under base-free conditions "のタイトルで、論文を発表しました。

Tetrahedron. 2023, 149, 133705.

https://doi.org/10.1016/j.tet.2023.133705

中性条件で優れた触媒作用を示す新規なルテニウム触媒の開発と応用について報告しています。

現在、当社が製造・販売しているルテニウム触媒(RUCY^®)はケトン類の不斉水素化において極めて高い活性と立体選択性を示しますが、塩基性条件下で不安定な基質の適用には制限がありました。RUCY^®のCl配位子をη¹-BH₄配位子に変換した新規ルテニウム触媒は塩基無添加条件でケトン類の高立体選択的な不斉水素化が進行することを見出しました。さらに、ラセミ体のアリルアルコールへのヒドロアミノ化において、本触媒を用いて無機塩基を必要とせずに高立体選択的にγ-アミノアルコールを合成する手法もあわせて報告しています。

また、本論文は重要性・新規性・広範性の点ですぐれた論文として、Tetrahedron誌の2023 Editors' Choice Collectionに選ばれました。