2009年度「野依賞」は岡本佳男教授に
高砂香料工業株式会社が後援する野依賞は、野依良治教授の2001年度ノーベル化学賞受賞と有機合成化学協会(SSOCJ)創立60周年を記念し、 SSOCJが2002年に制定したものです。野依賞は、年齢、国籍を問わず、広い意味での不斉合成化学の分野における顕著な業績を顕彰することを目的とし ています。毎年、この基準を満たした受賞者に、賞状、メダル、賞金10,000ドルが贈られます。国際選考委員会により選出された受賞者に対し、 SSOCJの通常総会において授与式をおこない、受賞者はその場で記念講演を行うことになっています。
2009年度の受賞者は、名古屋大学特別招へい教授(名誉教授)、ハルピン工程大学特聘教授の岡本佳男教授です。岡本教授はらせん重合体の 不斉合成と、光学異性体のキラル分析へのその応用の分野で、広く知られた重要な業績を残しています。岡本教授はまた、不斉重合法による一方向らせん重合体 の不斉合成に世界で初めて成功し、多くのラセミ化合物に対するその高いキラル認識能を発見しています。重合体を用いて、HPLCのための実用的なキラル充 填材の開発にも成功しています。岡本教授のもう一つの傑出した業績は、らせん状多糖誘導体をベースにしたきわめて有用なキラル充填材の開発であり、これは 世界中で広く使用されています。