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国立科博「新館」に当社メントールの展示物を提供

041122_kahaku1.jpg11月2日に新館をグランドオープンした東京の国立科学博物館では、「地球生命史と人類―自然との共存をめざして―」をテーマに最新の研究成果を踏まえた展示をおこなっています。「宇宙・物質・法則」のコーナーでは、当社が世界で初めて工業化に成功した不斉合成によるメントールと、これを実現可能にしたBINAP触媒を提供しています。

メントールは、ハッカやペパーミントの味と香りの主成分で、キャンディ、たばこ、オーラルケア、医薬品など様々な製品に使用されています。当社では、l-メントールのみを生成させる効率的な合成法を長年にわたり研究し、1983年に野依良治博士(2001年ノーベル化学賞)らとの産学協同で、天然物から誘導されるミルセンを原料とした触媒的不斉異性化技術によるl-メントールの工業的合成に成功しています。

 

041122_kahaku2.jpg化合物のなかには、同じ原子が同じように結合している分子にも、立体構造が人の"右手"と"左手"の関係となるもの(l-体とd-体)があります。このような物質を人工的に合成すると左右の分子が同じ量ずつできますが、最近ではどちらかをつくり分ける技術の開発が進んでいる例としてメントールが紹介されています。

メントールは、天然にはすべてl-体として存在しますが、d-体のメントールにはそのような独特な香気と清涼な味はありません。l-メントールのみを選択的に合成することが可能な不斉合成は、少ない原料で効率よく有用な物質をつくり出す、省資源・高効率なグリーンケミストリーです。

 

041122_kahaku3.jpg現代社会において、多くの有用な物質を天然資源に直接頼るには限界があり、蓄積した科学的知識に基づいて高付加価値な物質を生み出す化学合成なくして、私たちの生活は成り立たないのが実情です。とりわけ、大量供給を求められる物質については、経済性のみならず、省資源、省エネルギーさらに環境調和型の洗練された化学変換プロセス、すなわちグリーンケミストリーの視点に基づく技術が21世紀に化学産業はもとより社会の持続的な発展にとって重要な鍵となるでしょう。

 

今日、当社ではこのコアテクノロジーを活用して l-メントールの生産をおこなっています。それだけでなく、l-メントールをベースにした冷感剤、温感剤といったスペシャルティ製品の開発に取り組み、各種メーカーに供給しています。

このたび、国立科博より当社にメントールのサンプル提供の要請があり、これに協力しました。「新館」では、実際にl体とd体のメントールの匂いを嗅いで違いを実感できるようになっています。


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<本件に関する問い合わせ先>
高砂香料工業株式会社 総務部広報室 03-5744-0514