第68回 TEACでベストプレゼンテーション賞を受賞しました
高砂香料工業は、2024年10月26日~28日に開催された第68回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会 (TEAC) にて、ベストプレゼンテーション賞を受賞しました。
光学活性シトロネラ―ルの代謝工学によるバイオものづくり検討
近年のSDGsへの要望や天然志向の高まりにより、ナチュラルやバイオベースドなテルペン香料素材が求められています。モノテルペンであるシトロネラールは鏡像異性体が存在する化合物で、d体はl-メントール、l体はl-シトロネロール合成の重要中間体として有用です。当社においては、再生可能原料であるミルセンを原料に、それぞれを不斉合成により作り分けていますが、バイオマスである糖などを出発原料とした、微生物によるシトロネラ―ルの生産例は知られていません。そこで今回、シトロネラ―ルの合成経路を代謝工学的手法により構築し、バイオモノづくりによる光学活性なシトロネラ―ルの生産検討を実施しました。ゲラニアールを還元する新たなエンレダクターゼ(ENR)遺伝子、二種を見出し、それぞれ、d-シトロネラールおよびl-シトロネラールの鏡像異性体を高光学純度で作り分ける新規代謝経路を構築しました。さらに、AlphaFoldとmyPresto 5等を活用したin silicoシミュレーションにより、ENRの不斉誘起のメカニズムについても考察し、実験結果を支持する結果を得ることができました。